古書ポータルサイトの影響1

 古書ポータルサイトの古書業界に与える影響は非常に大きかった。基本的に地域性をもっていた古書店が全国の市場にアクセスできるようになっただけのものではない。無愛想な親父といわれた、一国一城の主として各々特徴があり、独自のお客さんをもって、ある意味十分な差別化がされていた古書業界において、それを根本的に変化させるものになった。
 簡単にいえば、古書店主の顔が見えない、棚という城が存在しなくなり、各店の個性が消えてしまったのだ。その代わりに大きな幅を利かせたのは価格である。これまでは、主に業界の人にしか手にすることができなかった市場価格というものが、ポータルサイトの出現によって、全国あらゆる古書店のすべての価格が見られるようになったのである。それまで、各店の信用や長年のつながりで販売していたものが、価格によって評価されるようになったのである。
 これは、確かに競争を活性化させ消費者にとっても非常に便利になった。全国の在庫がそれまで目録という入手しにくいもの、または古書店の店主に問い合わすという手段でしか確認できなかったものを家に居ながら一覧できるのだから、その利便性はすさまじい。
 これによって利用者が増え、競争による価格低下を上回れば古書業界においても非常にメリットになると思われたが、現実はそうはならなかった。
 消費者の読書離れ、図書館・教育機関などの公的な購入の減少、さらにこれまでの顧客の高齢化などにより一般的に古書業界全体において利用者の回復は見られない。その一方で、地方に分散していた在庫が一斉に全国に発信されたことによる供給過多で古書の市場価格の減少は歯止めが利かなくなった。これは、ポータルサイトの市場価格が一覧できる利便性が大きく寄与している。当然、消費者が市場価格を手軽に確認できるようになっただけでなく、古書店側も自分の在庫と市場価格との差を常に確認できるようになったことで、常に価格競争に陥ってしまったのだ。


景気ウォッチャー調査(平成18年8月調査) 平成18年9月8日 内閣府政策統括官室
景気判断理由集(現状)(PDF形式)
p93「古書店でもネット販売が台頭しており、価格競争のため以前の3分の1以下の価格となっている。」 



 市場価格の下落が古書ポータルの問題で業界だけに留まっているのであれば、影響もそこまで大きいものではなく、また市場価格の下落も歯止めがかかったのである。しかし、大型総合ポータルサイトなどネットでモノの売買の流れが変化するにつれより状況は大きく動いていく。

古書ポータルサイト一覧
 ポータルサイトとしては大きいものから小さいものまであるが、代表的なものだけでも以下のものがある。

組合ポータル 日本の古本屋
地域ポータル BOOK TOWN じんぼう
早稲田古本ネット
いいふるほん
古書専用ポータル スーパー源氏
ザ古書・古書検索
iwBOOKs
大型古本サイト ebookoff
古本市場
大型総合ポータル Amazon
楽天
ビッターズ
EasySeek '05/4閉店
無料古書ポータル 古本いちば
古書の杜
Oldbook Mark