ビジネス階層の分離化

 IT化によりもたらされた、自動化により標準化されたものをより自由に組み合わせることが出来るようになった。また、ネットワーク化で、より多くのものとつながることにより、従来一つの企業内で行われていた活動が、異なる会社によって担われるようになったことがして息されている。それが、ビジネスレイヤーの分離化である。
 これによりオープンな組み合わせが促され、空間市場では、多様なコンテンツ(製品・サービス)を違ったインフラのもとで、多様なアプリケーション活動(プラットフォーム)によって顧客に届けられるようになったといえる。

ジェフリー・F・レイポート, バーナード・J・ジャウォルスキー著 ; 中瀬英樹訳『インターフェース革命』2006.5

 レイポートによると、市場は、コンテンツ、コンテキスト、インフラストラクチャの3つの階層構造として捉えることが出来る。従来、この3つの階層は渾然一体として提供されてきた。ところが、ITの進歩により、製品やサービスに関する情報が製品やサービスそのものから切り離され、従来の物理的市場から情報空間に市場戦略の重要性がシフトしてきている結果、コンテンツ、プラットフォーム、インフラストラクチャをそれぞれ切り離して提供することが可能になってきた。例えば、新聞は、記事の内容(コンテンツ)、紙面のフォーマット(プラットフォーム)、印刷や配送システム(インフラストラクチャ)がパッケージとして売られてきた。しかしながら、パソコン通信でニュースを配信する状況では、記事の内容(コンテンツ)の提供者と、パソコン通信のインターフェース(プラットフォーム)の提供者、パソコン通信の事業者(インフラストラクチャ)が同じである必要はない。どの部分を自社で提供し、他の階層をどのように組み合わせるかが競争優位性を築く鍵になってきている。顧客のロイヤルティは特にプラットフォームに向けられるので、プラットフォームは、空間市場時代の新しいブランドイメージとして重要な役割を果たす可能性がある。
●新聞ビジネスの階層分離
 

 次からは、ビジネスレイヤーの分離化により多様な種類が生まれたECのビジネスモデルを見ていきたい。ただ、ECはまだ若い概念でその定義も様々あるので、まず、そこからレビューしていきたい。