ECに似た概念

ECの概念をレビューしたが、ECと似た概念として、eビジネスインターネットビジネス、などが多く存在している。今回は、それらの概念を整理しよう。
 

 ウェブなどのインターネット技術を取り込んだ新しいビジネス形態の名称としてIBM社が1997年10月に提唱したe-businessに端を発するそれは、「企業活動における情報交換・蓄積手段を電子化し、経営効率を向上させる」こと。また、その結果もたらされる企業活動の諸形態を表している。つまり、既存のビジネスをインターネット上で拡張することで顧客との関係を改善し、また取引のプロセスを合理化するとともにそれに費やすコストを大幅に削減する。その結果、これまでのビジネスの在り方を再考する概念である。

竹元雅彦「日本におけるインターネットビジネスの成長要因」『修道商学』45(1) 2004.9 pp.85-109
http://comm.shudo-u.ac.jp/syougaku/452/452-3takemoto.pdf
 また、竹元によると「商取引やビジネスプロセスの全部あるいは一部分がコンピュータを利用したネットワークで行われることで、企業内部のマーケティング活動も含む」 としている。



 また、インターネットビジネスは、アーサーアンダーセンビジネスコンサルティング によると、売買の場面に限定するのではなく、ビジネス全体を包括的に捉える概念でもあり、「ネットワーク化された技術を利用することにより、モノ、サービス、情報、および知識の伝達と交換を効率的に行うことである」と定義されている。



 eビジネスを考えるにあたり、まず、「eビジネス」と「非eビジネス(=従来のビジネス)」の違いについて整理しておく必要がある。ビジネスにおける3つの構成要素である「製品」、「プレイヤー」、「プロセス」を軸にその構造を表したのが図2である3)。「製品」とは取引の対象となるものであり、各種の製品とサービスを含んでいる。「プレイヤー」は取引の売り手、買い手、仲介者、そして情報提供などの間接的なサービスを提供する第三者をさす。そして、「製品」と「プレイヤー」のあいだを相互に関連づけるのが「プロセス」であり、これには製品やサービスの生産、検索、選択、注文、支払い、配達、消費、マーケティングなどが含まれる。
●Eビジネスの範囲

 これまで、ECをレビューしてきたが、この様に多くの定義があるのでは議論が難しい。そこで次回では、ECの定義を定めていこう。