ECにおけるビジネスモデル(1)

 まず、ビジネスモデルといってもその概念自体がまだまだ確立していない概念のため分類も様々である。そこで、ビジネスモデルについてレビューしてみよう。

根来龍之監修 早稲田大学IT戦略研究所編『mixiと第二世代ネット革命』東洋経済新報社 2006.9
 根来 ビジネスモデルは、「どの様な事業活動をしているか、あるいは事業構想」を示すモデルであり、以下の3つのモデルが中心になる。
①戦略モデル:顧客に対して、自社が提供するものは何かを表現するモデル。具体的には、その事業における、顧客、機能、対象製品、魅力、資源、前提が何かを表現する
②オペレーションモデル:戦略を支えるためのオペレーションの基本構造とその前提を表現するモデル
③収益モデル:事業活動の対価を誰からどうやって得るかとその前提を表現するモデル。
 戦略モデルは、オペレーションモデルに支えられて始めて実現可能となる。戦略モデルとオペレーションモデルは、収益モデルに裏づけられなければ「ビジネス」にはなりえない。


國領二郎『オープン・アーキテクチャ戦略―ネットワーク時代の協働モデル―』ダイヤモンド社 1999.11
 また、國領は、ビジネスモデルとは、「だれにどんな価値を提供するか、そのために経営資源をどのように組み合わせ、調達するか、パートナーや顧客とのコミュニケーションをどのように行うか、いかなる流通経路と価格体系の下で届けるか、というビジネスのデザインについての設計思想であり、ITの革新を現実の価値創造の仕組みとして具現化していき、新しいビジネスモデルを創造することが重要」としている 。
 國領は以下の3つのビジネスモデルを提唱している。
①情報の非対称性構造を変化させるビジネスモデル
②認知限界制約を緩和するビジネス
③非物財的な特性を生かすビジネスモデル
 

 ここでビジネスとは必ずしも営利企業のビジネスを意味しないが、持続可能な資源獲得と管理運営メカニズムを備えた存在のことであることを付記しておきたい。営利であろうが、非営利であろうが、価値を生み出し、それが何らかの形で評価されて再生産に必要な投資が行なわれなければ持続しない。ここでは、その実現のモデルをもってビジネスモデルと呼ぶ。