インフォミディアリ

中村雅章「ネットビジネス戦略とビジネスモデル」『中京ビジネスレビュー』2005.3 No.1
http://www.chukyo-u.ac.jp/educate/mba/cbr/001/imgs/05.pdf
 中村によると、ECにおける情報仲介モデルについては、基本的に取引の場であるマーケットプレイスを提供するモデルであるため、プラットフォーム層の活動である。
 また、情報仲介モデルは、インフォミディアリと呼ばれることもある。インフォミディアリ(infomediary)とは、「供給側と購買側のオンライン上での仲介役であり、eマーケットプレイスやコミュニティ、オークションなどを提供するポータルサイトのことである。Information Intermediaryの略で、「情報仲介業」と訳されるが多い。例えば、楽天価格.comビッダーズ、アパレルウェブ、Alibaba.comなどは広い意味でのインフォミディアリに属しているということができる。
 一般的に、インターネットの普及は製造者と購買者の距離を縮め、仲介業者や卸売りを圧迫すると予想されていた。しかしインターネットによる情報流通が盛んになるにつれて実際には新しいタイプの仲介業者が登場するようになった。これがインフォミディアリである。
 基本的には製造者と購買者の情報を集め、それらを最適な形で組み合わせて仲介する業種であると言えるが、具体的なビジネスモデルとしては様々なものが存在している。例えばオークションや逆オークションを行うサイト、店別の商品価格の一覧表を提示するサイト、複数の業者に一括して見積もりを頼めるサービス、利用者から集めたアンケートの分析結果を製造者に売る企業などはいずれもインターネットを通じて情報を仲介しており、広い意味でのインフォミディアリに属していると言える。

 また、機能特化モデルでは、オペレーション型と情報ネットワーク型の両者については、インフラ層とプラットフォーム層にまたがる活動をしていると考えられる。たとえば、オペレーション型のEMSは生産設備インフラと製造サービス、情報ネットワーク型のiDCはサーバーや回線インフラと運用管理を提供するからである。サービスプロバイダー型については、アプリケーションサービスが中心であるため、プラットフォーム層での活動といえる。
 ここで、ECの定義から考えると、ECは商取引を前提に考えたものであり、機能特化モデルに関しては直接的な商取引は少なく、EC関連市場としてECには含まないと考えられる。

 また、上記の中でも、インターネットしか販売チャネルを持たないバーチャル型ビジネスを「ピュア・プレイヤー(単一販路型またはドットコム企業)」と呼び、店舗や通販など複数の販路を持つネット以外にインターフェースを持つビジネスモデルを「マルチ・チャンネル・プレイヤー(複数販路型またはクリック&モルタル)」と呼ぶ事もある。



 次回からは、ECにおけるビジネスモデルの特徴としてどのようなものがあるのか、経済学理論から見ていきたい。