プラットフォーム・ビジネスの定義

 これまで、プラットフォーム・ビジネスを見てきたが、ECにおける知識交換を論じていくためにここで、定義していきたいと思う。プラットフォーム・ビジネスの定義は以下のようにする。
「第三者間のコミュニケーションに介在し、ECを活性化させるビジネス。かつ、扱うサービスは情報であり、知識交換を行う。機能としては、以下の5つがあり、いくつかまたは全部を持ち合わせている。」
①取引相手の探索
②信用情報の提供
③経済価値評価
④標準取引手順の提供
⑤諸機能の統合


 これらは、プラットフォーム・ビジネスをECにおけるものに絞るため、國領の取引仲介型プラットフォーム・ビジネスと根来のIC-PFBとをECに適応するようにしたものである。出口については、産業としてのプラットフォーム・ビジネスため採用しなかった。
 定義におけるコミュニケーションとはインタラクションの事であるのはよいとして、第三者間とは、単一のサプライチェーン上の売り手、買い手にとどまるのではなく、複数のサプライチェーン上における主体間のコミュニケーションも含むものである。これは後述の知識交換にもつながるものである。


 ビジネスとは國領の主張していたように、営利、非営利は問わない。ただ、非営利に関してはLINUXといった成功例もあるが未だ実例も少ないため、今回はプラットフォーム・ビジネスをビジネスモデルによる営利の私的ビジネスに限定する。


 機能において、⑤諸機能の統合とは機能特化型モデルを組み合わせることにより、認証、決済、セキュリティ、物流などを統合したサービスとして提供するものである。




 具体的なビジネスモデルの定義の適応される範囲はとしては、中村のダイレクトモデル(クリック&モルタル型は除く)と情報仲介モデルを範囲になる。情報仲介モデル、インフォミディアリはまさにプラットフォーム・ビジネスの一部というのは当然だが、本論の定義では、ダイレクトモデルも含まれる。なぜならば、デルやアマゾン、アスクルといった代表的なものに関しても扱っている商品、サービスは情報である。既に階層化されているビジネスでダイレクトモデルを行っているこれらの企業は、実際に多くの企業の機能を合わせることでダイレクトモデルを達成している。ただ、クリック&モルタル型については、リアルなビジネスの延長として、その付随のビジネスを行っているため含めない。



 本論の定義で最も重要なのは知識交換を行うことである。これは、國領の顧客間インタラクションを更に発展させた根来のIC-PFBをECに一般化する試みである。


 知識交換については、次章で細かく述べるとして、現在知識社会といわれるなか、知識交換が第三者間の商取引を活性化し、自らの競争優位をも高めることを述べていきたい。